今は、世話もできず、荒れ放題になっている我が家の庭ですが、その一年を記録しました。
1月 雪と紅梅
先陣をきって紅梅が小さな花を付け、清らかな春の予感が庭に香り始めます。
1月末、鳥取には大雪が降り、あたりはすっかり雪に埋もれました。
上の住宅地からの眺望です。手前がすっかり葉を落とした我が家の庭のキウイ棚。左上に乾燥地研究センターの管理棟、右上に同)ゲストハウスが見えます。
雪が溶けた双子オアシスです。
周囲の砂丘地に浸透した雨水は、漏斗(じょうご)の底の双子スリバチから一年中こんこんと湧き出ます。この水は、手前から右上方に見える我が家に向かって流れ出ていきます。
水源からの湧水は我が家横のプールに溜められ、ポンプ(右手の白い小屋)で鳥取大学乾燥地研究センターの圃場へと送られます。湧水の一部は我が家の庭を流れ、地下水を我が家の飲料水や風呂水として使っています。
水源地には、様々な水生植物や自生し、ホタルや水すましなどの昆虫も戯れています。
水面を覆うように葉を広げているのは試験栽培されている山葵(わさび)です。
上記の水源を護る「砂丘水神」です。春になると、周囲にはわらびが群生します。
2月 春の声
雪が融け、庭の梅は満開です。樹々には新しい芽がつき、春の声が聞こえてきます。水場には、春の七草のセリが育ち始め、カラにも小さな新芽が吹き始めました。庭の紅白の椿もそろそろです。オアシスでは、明るい光と溢れ出る湧水の中、水鳥(カモ)が遊び、水場の虫をついばんでいます。
3月 桜・椿・水仙
3月。庭の紅白の春椿が満開を迎えました。水場を覆うのは春の七草セリです。カラも小さな蕾を一つ、つけました。瑞々しい緑がまぶしく輝きます。
家の前の桜がつぼみ始めました。
全国的にも、桜の開花が例年より一週間ほど早いようです。我が家の前、鳥取大学乾燥地研究センターの門を大きな桜の樹が飾ります。3月下旬には満開になりました。双子オアシスの広場には、早くも、わらびが芽吹き始めています。つつじの花芽も開き始まました。
4月 蕨(わらび)
すっかり緑に覆われた砂丘水神の広場には蕨(わらび)が群生し、我が家の庭は緑の饗宴を迎えます。我が家の庭を知る人々は、この季節、ふき、山椒、しきび、シイタケ、カラ(花)、せりなどを採っていきます。ふき、山椒、シイタケは食用に。しきびは仏前や神棚に。カラは仏前などへの供花とするようです。
庭を流れる水のまわりにはふき、みずぶき、ウド、せりなどが群生します。シイタケ原木からも小さなシイタケが顔を出しました。
庭の木々も、4月の光に輝きます。大山キャラボクは、大山から10センチの小枝を持ち帰って挿し木にしたものです。今では、大きなものでは2メートル四方にも広がっています。
5月 ツツジとハーブ
5月。乾燥地研究センターは一年中で一番美しい時期を迎えます。我が家の庭も、色とりどりの名もなき花々が咲き乱れます。また、春から夏にかけて、クレソンやアップルミントなどの様々な香草が自生します。
夏
6月 梅雨の紫陽花(あじさい)とカラの花
梅雨に入ると、紫陽花の花が雨と陽に煌めき、梅の実がたわわに実ります。カラの花も次々と開きます。
カラの開花時期は4~6月の初夏です。花言葉は「乙女のしとやかさ」や「清浄」です。
7月 実りの秋に向けた果実の誕生
庭のキウイ、姫りんご、柿、かぼちゃ、みかんなどに、小さな実がつき始めます。実りの秋が楽しみです。
8月 色づき始めた果実
かつては、庭の池にホタルが舞っていましたが、いつしか、姿は消えました。ただ、横の双子オアシスの水辺では今もホタルを見ることができます。例年になく気温が高いこの夏、それでも庭の水場には双子オアシスから豊富な水が流れ込みます。柿の実、姫りんごの実が色づきはじめました。キウイ棚は見事に茂り、今年も豊作のようです。
秋
9月 彼岸花・月見草
彼岸、我が家の庭には、赤と黄白色の2種類の彼岸花が咲きます。
また、黄色い宵待草とピンクの月見草。どちらも秋の月夜に浮かぶ花です。黄色い宵待草を月見草と呼ぶこともあるようですが、本来は違うものです。
竹久夢二の詩に、こんな素敵な詩があります。
まてどくらせど こぬひとを 宵待草のやるせなさ こよいは月もでぬそうな
初夏からかぼちゃの花が咲きます。サトイモは乾燥に弱く、近場に水場がある乾燥しにくい場所、かつ、陽あたり良好な場所を好むようです。
我が家横の道路沿いのクヌギの木には、どんぐりの実が大きくなっています。アゲハチョウが庭先を舞っていました。
10月 秋の草花のいろいろ
秋が深まる中、多くの名もない草花が我が家の庭や周囲の野にけなげに咲きます。
風によって周囲の野原から種が飛び、鳥も種を我が家に運び落としていくようです。
道端でよく見かける青く可憐なツユクサ(つゆ草)やイタデ、空色アサガオとも呼ばれる美しい青色が特徴で西洋アサガオ。山の藪中に輝く青紫のヤブラン、畑や野に自生するシオン(紫苑)。秋の代名詞の秋桜(コスモス)など。様々な草花をお楽しみください。
今朝、鳥大乾燥地研究センター横の砂地斜面に、ウンランを見つけました。海蘭と書きます。ハマ茶と同様に砂の植物です。ハマ茶の正式名称は小蜜柑草、別名を狐の茶袋といい、昔はお茶の代用品でした。
また、豊かな水に恵まれた庭には、様々な果実が実り始めています。その中でも、キウイ棚は20m幅に広がり、空を覆い隠し、採りきれないほどの実をつけます。棚の下には、水が流れています。柿は黄色く、りんごは赤く色づき始めました。
11月 紅葉・金柑・蜜柑・八朔
10月から庭のもみじが色づきはじめ、11月には空を真っ赤に染めます。
蜜柑、八朔、金柑、デコポンの4種類の柑橘類がの実が、黄色く熟れはじめます。南天の実は色づき、金色のすすきの穂が垂れます。
再び冬
12月
柑橘類がたわわに実る一方、キウイ棚などはすっかりと緑の葉を落とします。
その他
3本葉の松
一般的な松葉は2本葉ですが、覚寺の(旧)中ノ郷小学校にあった大きな松の木は3本葉でした。
2本葉は夫婦、3本はこどもを加えた子孫繁栄の象徴だと当時の先生から教えてもらいました。この話を鳥大砂丘研究所の遠山正瑛先生にお話しすると、どこからか3本葉の松を調達してきました。研究所の駐車場入り口にある大きな2本の松(写真)が3本葉松です。
クスノキ(楠)
古くからクスノキ葉は防虫剤、鎮痛剤として用いられ、木部から樟脳(しょうのう)が採取されていました。私の母親は家の前のクスノキの枝葉を乾燥させ、タンスの中に入れていました。このクスノキは、2023年2月に伐採されました。
ヒマラヤ杉と「シダーローズ」
冬、砂丘水神広場のヒマラヤ杉は松ぼっくりを根本に落とします。これを自然乾燥させたものは『シダーローズ』と呼ばれ、フラワーアレンジメントの材料としてよく使われるようです。2022年冬、我が家でもこの「バラ」が咲いています。
心配な松枯れの拡大
砂丘の松林(雑木林)に松枯れが広がり、心配です。